響が倒れた日のことを、まだ書けずにいます
いま、まだ一文字も書けていない物語があります。
でも、その物語の重さだけは、もう分かっています。
これは、新と響
——ふたりの物語『深夜0時のディールログ』の、まだ書かれていない余白の話です。
本編の中で、僕があえて正面から描かなかった一日があります。
響が、倒れた日のことです。
あの日、家族のそれぞれは、どこで何をしていたのか。
新はどこにいて、怜と紬は何を見ていたのか。
カレンダーを逆算しながら、時間割を組み立てていきました。
けれども、まだ一文字も書いていません。
それなのに、物語だけが、急に重さを持ち始めました。
怖いのは、響が倒れた日の出来事そのものではありません。
本当に怖いのは
——その日に至るまでの新の時間に、僕自身もまだ気づいていない何かが、隠れている気がすることです。
そしてもうひとつ。
ずっと昔、新が飲み込んだ言葉があります。
怖くて、言えなかった言葉です。
それが、いつで、何だったのか。
実は、僕にも、まだ分かっていません。
ただ、「飲み込んだ」という感触だけは、はっきりと残っています。
言えなかった言葉は、消えません。
むしろ、言えなかったからこそ、長い時間をかけて、物語の奥に沈んでいきます。
だからかもしれません。書く前から、少し怖いです。
でもたぶん、
この怖さの中に、この物語で本当に書くべきものがあるのだと思います。
第6回「まだ書けない物語の話」では、
その探している最中を、そのまま残してみました。
完成した作品の話ではありません。
物語が生まれる前の、まだ形になっていない時間の話です。
『深夜0時のディールログ』を読んでくださった方は、ぜひ深夜0時の机の前で聴いてみてください。
そして、響が倒れた日のことを、あなたはどう受け取ったのか。新が飲み込んだ言葉は、どんな言葉だったと思うか。
よければ、返信やコメントで聞かせてください。
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#6 まだ書けない物語の話 — 言えなかった言葉を、探している
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