今日、東京にいる長男とオンライン飲み会をしました。
4月末に大阪を離れ、5月1日から新しい会社で働き始めた息子です。
画面越しではありますが、元気そうな顔を見られただけで、まずはひと安心でした。
新しい仕事のこと。
周りの人たちのこと。
そんな話を聞きながら、僕の頭の中には、数日前に長男から届いたLINEの一文がずっと残っていました。
仕事に関わる具体的な内容は伏せますが、彼は新しい会社で、社長や周囲の人たちと話す中で、こんなふうに感じたそうです。
「社長と俺個人としての向いてる方向が同じやなと感じて、いい会社に入れたと思った」
その言葉を読んだとき、僕は素直に嬉しくなりました。
同じ方向を向いている上司や経営者と仕事ができる。
それは働くうえで、かなり大きいことだと思います。
やりがいにもつながりますし、判断に迷ったときの軸にもなります。
だから僕は、こんな返事をしました。
嬉しい報告やね。ありがとう。
同じベクトルを向いている上司となら、やりがいもあるし、良かった。
あとは一日も早く、社長や上司の仕事の仕方を盗んで、独り立ちできるように頑張ってな。
父親としては、ごく自然な返事だったと思います。
でも、送ったあとで、少し引っかかりました。
ベクトルって、何やろう。
僕はこれまで、仕事の中で「ベクトル」という言葉を使うことがありました。
ただ、それはどちらかと言えばミクロな意味でした。
仕事への取り組み方。
意思決定の方針。
現場での判断基準。
物事の進め方。
つまり、目の前の業務をどう進めるか、というレベルでの「同じ方向」です。
けれど、今日のオンライン飲み会で改めて長男に聞いてみると、彼の言う「ベクトル」は、もっと大きな意味でした。
最終ゴールがまったく同じとは限らない。
たぶん、そこは違っていてもいい。
でも、その途中途中にあるチェックポイントまでは、同じ方向へ走っていける。
この人についていけば、そこまでは確実に行ける。
そう思えた、ということらしいです。
ただし、彼はこうも言っていました。
「ただついていくだけじゃなくて、並走するつもりやけど」
その一言が、妙に残りました。
ああ、そうか。
彼はもう、「誰かに連れて行ってもらう側」だけではないのだと思いました。
もちろん、まだ社会人としては始まったばかりです。
教わることも多いでしょうし、失敗もあると思います。
それでも彼は、ただ後ろを歩くのではなく、自分も走るつもりでいます。
並走するつもりで、新しい環境に向き合っているのです。
それを聞いて、僕は少し驚きました。
20代の頃の僕は、そこまで考えたことがなかった気がします。
目の前の仕事をこなすこと。
与えられた役割を果たすこと。
失敗しないこと。
ちゃんとやること。
そのあたりで、精一杯でした。
自分はどこへ向かいたいのか。
誰と、どこまで一緒に走りたいのか。
この人となら、途中のチェックポイントまで同じ方向を向けるのか。
そんなふうに、マクロな意味で仕事のベクトルを捉えることは、正直ほとんどありませんでした。
でも、息子は自然にそれを言葉にしていました。
そのことが、嬉しくもあり、少し眩しくもあり、そして何より、自分自身を問い直すきっかけになりました。
では、僕のベクトルはどこを向いているのでしょうか。
交渉の仕事なのか。
言葉を使って人と向き合うことなのか。
父親としての経験を伝えることなのか。
それとも、物語を書くことなのか。
たぶん、そのどれか一つではない気もしています。
けれど、「じゃあ結局どこへ向かいたいのか」と聞かれると、まだうまく言葉にできません。
53歳になろうとしていても、こういう問いにはまだ答えを探しています。
いや、年齢を重ねたからこそ、簡単には答えられなくなっているのかもしれません。
父親というのは、基本的には子どもに何かを教える側だと思っていました。
でも実際には子どもの言葉で自分の人生や仕事観を問い直す夜があります。
僕はずっと、こう言い続けてきました。
子育て=親育て
今日のオンライン飲み会は、その言葉をあらためて思い出す夜でした。
息子の近況を聞く夜であり、僕自身の現在地を見つめ直す夜でもありました。
息子は東京で、新しい会社の中に自分のベクトルを見つけ始めています。
僕は大阪で、自分のベクトルをまだ探しています。
仕事の進め方ではなく、もっと大きな意味で。
自分はどこへ向かいたいのか。
誰と、どこまで一緒に走りたいのか。
そして、自分はただ誰かについていくのではなく、並走する覚悟を持てているのか。
もし、この記事をここまで読んでくださったなら、少しだけ考えてみてほしいです。
あなたにとって、仕事のベクトルとは何でしょうか。
最終ゴールが同じ人。
途中まで一緒に走れる人。
自分を次のチェックポイントまで連れて行ってくれる人。
あるいは、自分が誰かを支えながら進んでいくこと。




自分の考えをしっかり持った息子さんすばらしいです。息子さんを迎え入れた企業も見る目ありますね✨
「ついていくだけじゃなくて、並走する。」
最高の息子やね。